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小田桐菜津子と七つの情事
第6章 痛みを覚えた六人目
それ以降、女から連絡はない。
職業柄、私が女の連絡先を知らなくても、女は私にコンタクトできるはずだった。
例えば妊娠した場合など、だ。
それ以降、女から連絡はない。
私は東京のふたりの女に詫びを入れ、ふたりを解き放った。そして一方の女に結婚を申し入れた。人生3度目の結婚ではあったが。その提案は却下された。
俳優業は順調だった。ある映画に出演した際、「どんなコミカルな演技をしても、目の笑っていない稀有な俳優」という寸評をもらった。
言い得て妙だな、と思った。
もう、あの女を待つのは止めよう、と思う。
それ以降、女から連絡はない。
やれやれ。