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小田桐菜津子と七つの情事
第7章 最後の情事
あと、ぼくらの課題は、いつ子どもを持つか、ということだった。
子どもを作ることに関していえば、三〇を目前に控えた年、割と真剣にそれに関して話し合ったことがある。子どもは欲しい。いつかは。でも、いまはその時じゃない。
たがいにやっと一人前の社会人になって、仕事の面白みが分かってきたところだった。もし子どもができたなら、ぼくだってちゃんと育児をやろうと思っていたから、子育ては仕事とのバーターであることは意識していた。
だからこそ、子どもはまだ、今しばらくは先でいいんじゃないか、とぼくたちは結論した。
なっちゃんが35歳になる前に産む。
それぐらいがぼくらが話し合って決めていた、最低のラインだった。
そのせいもあると思うのだけど、ぼくらのsexの回数は徐々に減っていった。
おそらく、回数で言えば交際している20代の半ば以降の数年間が、一番していたと思う。
そのピークを過ぎたところで、ぼくらは結婚した。
ローンを組んで郊外のマンションを買い、そこでの生活が始まり。
ぼくの研究所は北関東の奥地に合ったので、週に何度かはそちらに借りているアパートに泊まることになり。
週末に東京に戻ってくると、なっちゃんと青山や麻布の洒落たレストランで外食し、お酒を飲んで、家に帰った。そこからsexになだれ込む回数が徐々に減り、やがて、ぼくらも多くの夫婦がそうであるようなセックスレスになっていった。
その後、あの事件が起こったんだった。