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小田桐菜津子と七つの情事
第8章 エピローグ
それから一年後。
私は大きくなってきたお腹を抱えて、最後の出社をした。
産休明けに今までと同じようにしっかりと働けるかは分からない。今はそのつもりがあっても、実際にママになったら別の新しい気持ちになるかもしれないし。
使い慣れたデスクのPCを操作しながら、これまでの来し方を思う。
結局、私たち夫婦は人口受精を選択した。
何度かの心を込めたSEXでも、妊娠には至らなかったからだ。専門の病院で調べたところ、小田桐くんの精子は少なめで、私の卵巣にも多少の不都合があったことが分かった。
自然妊娠では確率が低いということで、科学的に正確なタイミング法を用いて、計画的な性行為を行なった結果、なんとか妊娠するとこができた。
かなり辛い検査と、かなり高いコストを支払ってのことだった。
それはふしだらな日々を送った罰なのだ、と私は理解した。そして無事に赤ちゃんがお腹にやってきたことで、私は赦されたのだと思った。
神様、と私は思う。
淫らであることをこれからも私はコントロールできるのでしょうか?
ママになり、また良き妻であるためには、淫らでいることは許されないのでしょうか?
わからない。
多くの女性が心のうちでそんなことに悩むだろうと思う。
私を受け入れ、そして変えていってくれたあの優しき男性たち。彼らのことはそっと心の奥にしまいこんで生きていこう。
健やかさと淫らさが、上手にバランスが取れるような。そんな人生が送れたらいいな、と私は思う。
どちらかが欠けても私らしくない。
どちらかが満たされるだけでも、私はダメだろう。
私が私らしくいるために。
その両方を素直に表現していきたいと思っている。
私が私らしくあるために。
〈了〉