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桜の季節が巡っても~追憶~
第58章 ふたりとも好き3(再編済)
「えっ、介抱?帰り…?」
泉夏は焦って訊き返す。
彼は『自分のなんでもない』けど。
当の本人も、親友の事は『そういう好きじゃない』と確かに言っていたけれど。
親友だって『そういう好きじゃない』のは知ってはいるけれど。
それでも少なからず慌ててしまう気持ちに、嘘は吐けなかった。
やっぱり平静ではおれない自分がいた。
親友はアルコールに弱いわけでは、決してないけれど。
かと言って、そんなに強い方でもない。
泉夏が内心動揺していれば、隣りに座っていた麻衣が突如悲鳴に似た甲高い声を上げた。
その声量に泉夏のみならず、その場にいた全員が驚いて彼女を見る。
麻衣の熱い眼差しは、座敷の出入り口に注がれていた。
十六人の双眸が一斉に、いつの間にか開け放たれていた襖に集まる。
全員の視線を一身に浴びる羽目となった彼は、一瞬怯んだ風だった。
だがすぐにいつもの自信満々な笑みを浮かべ、瞬時に皆《みな》を虜にする。
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