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桜の季節が巡っても~追憶~
第58章 ふたりとも好き3(再編済)
目が合った途端、大樹は僅かに身体を後ろに引いた。
それを見た龍貴は、泉夏の耳朶に口元を寄せる。
「伊東君なんか怖がってる?」
「…なんかってさ」
泉夏は溜め息しか出ない。

『俺もお兄さんに久し振りに会いたい』

大学ではそう言ってたけれど。
それは本心に違いないとも思うけど。
でもいざこの傍若無人ともとれる人物を前にすれば、何かされるんじゃないかと勘繰り、無意識のうちに身構えてしまうのも当然だった。
大のおとな-しかも彼ほどの人間が、年下の大学生を本気で相手にするわけなどない。
だが適度にからかい、楽しんでいた過去も、また揺るぎない事実で。
彼が警戒するのも十分頷ける。
片手を軽く上げ、大樹に手招きをしてみせる龍貴は、実に楽しそうに生き生きとしていた。
泉夏は大樹に深く同情するしかない。
ほんの一瞬、大樹は躊躇したようにも見えたが、やがて龍貴の求めに応じた。
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