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桜の季節が巡っても~追憶~
第30章 先生には秘密1(再編済)
「勿体ないと思うなら、是非残さず、食ってくれ。これからもどんどん持って来るから」
龍貴《りゅうき》は喉を鳴した。
拍子、彼の左右の耳朶を飾るピアスが揺れる。
泉夏もつられ、頬を緩め、頷いた。
いくら五軒隣りとはいえ、わざわざケーキを持って来てくれた彼を、玄関先でそのまま帰すのもなんだと思い、
「…お茶でも飲んでく?」
訊いてみる。
しかし、彼は、
「いや-」
言って、なんとなく、家の中の様子を窺う。
「今って、絢子《あやこ》さんとシスコンはいないの?」
シスコンってさ-泉夏は、がくっと肩を落としそうになりながらも、答える。
「ママも涼《りょう》お兄ちゃんも仕事。その後で二人とも会社の飲み会だから、夜遅くまで、暫く私ひとりだよ」
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