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第5章 デート

「どうした？息が荒いぞ。具合でも悪いのかい？」
悪びれずにその人が言う。あたしは涙目で、睨むようにその人を見つめている。するとその人は、優しい笑顔になり、あたしの頭を撫でながら言った。
「わかったわかった、悪かったよ。お前が可愛いからちょっと苛めたくなっただけだ。もういいよ、よくがんばったな。後でご褒美あげないとね。」
言われてあたしは慌ててスカートの裾を元に戻して座り直す。その動きで初めて、隣のカップルの男性が、チラッとこちらに目をやったような気がした。