この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
凍える月~吉之助の恋~
第10章 第四話 【はまなすの子守唄】 一
「フン、こっちは大事な娘を手前の女房に連れていかれたかもしれねえってんだ。もしそれが本当なら、女房もお前もただじゃ済まねえ。今ここで八つ裂きにしてやりてえくれえだよ」
伊八が低い声で言うと、留七が口を尖らせた。
「だから、もう女房じゃねえ、赤の他人だと言ってるじゃねえか。何の縁もゆかりもねえ女だが、一度でも自分のかかあだった女が人さらいなんぞしでかしてたら、あっしも寝覚めが悪い。そう思って人が親切に知らせに来てやったんだぞ」
「何だとォ、その言いぐさは」
伊八もまた喧嘩腰になるのに、お絹は慌てた。
「待って下さい。二人とも落ちついて」
伊八が低い声で言うと、留七が口を尖らせた。
「だから、もう女房じゃねえ、赤の他人だと言ってるじゃねえか。何の縁もゆかりもねえ女だが、一度でも自分のかかあだった女が人さらいなんぞしでかしてたら、あっしも寝覚めが悪い。そう思って人が親切に知らせに来てやったんだぞ」
「何だとォ、その言いぐさは」
伊八もまた喧嘩腰になるのに、お絹は慌てた。
「待って下さい。二人とも落ちついて」