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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第3章 "鬼"
時の時空に入った朱雀はゆっくりゆっくりと過去に降りてゆく・・・・・
上も下も横も何も無い空間、ただ朱雀は自身の力で移動している。
普通の人ならば、入ったら一生出れないであろう…
朱雀は目を細めて"力"を見ている…
時空の中でも"力"ある存在は分かるのだ
(今は大正時代…まだ先が長いな)
朱雀はなるべく近い過去は選ばないようにしている、史実が残り過ぎていてやりにくいのだ
(過去を変えてはいけない)
それが時空の監視者たる自分の役目であり絶対の掟、だから選ぶのは歴史があやふやな1000年前とか2000年前を選ぶ、その方がやりやすいから…
(もし、変えてしまったら、自分が正さなければならない、それが定めー)
そんな考えに浸っていると、物凄い勢いで"何か"に引っ張られた!!
(…っ何っっ!!)
自分の力を持ってしても、引っ張られる力は弱まらない
(この力‥未練?執念か…??
駄目だ逃げきれん)
時空の裂け目が見えて来た、そして朱雀は半強制的に時空から放り出された……
「・・・・・ここは??」
辺りを回す…
目の前には桜の木、周りは瓦屋根の建物、障子で仕切られている部屋…
(…江戸時代?
何処かの屋敷の中だな…騒ぎになるのも不味いか…)
何せ銀髪、赤い瞳、白に近い薄紅色したチャイナドレスを崩したような服、それに時代に似つかわしくない太刀…
そうそうに移動した方が良いと朱雀は判断する。
((お待ち下さい…))
「っ!!」
何処からか女の声がする、それにまた身動きが取れない…
まるで金縛りにあった感覚だ。
((この場所にあなた様を呼んだのは私です))
今まで何も無かった場所に女が1人立っている。
「此処はどこだ?お前は…人…ではないな?」
確認するかのように赤い瞳を細くする
女は朱雀の近くへと一歩一歩ゆっくり歩みよる。
((此処は新撰組屯所、今は少し時空の軸を歪めて、こちら側の事はあちらには見えておりません。))
また一歩女は足を進める…
(時空を歪める??そんなに簡単に出来る事ではない、それに我を縛るなど…この者…)
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