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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第3章 "鬼"


朱雀は女を凝視する…

腰まである真っ黒な黒髪を簡単に結い、白い和服は少々乱れている…何より黄色い瞳…

人間では無い…かと言って一族の気配でも無い…
…残るは……


「そなたは"鬼"か…」

女はにっこり笑う…


((その通りで御座います、私は鬼、平安の世に出で、長の眠りについておりました…))


「ならば、何故ここに居る?」


((誰かが私の眠りを妨げました、そして気づかぬうちにその者に利用されていました))


また一歩女は近づく…

「では、どうして正気に戻った…それに我を縛る力があるのならば簡単に支配から抜け出れたはず…最後に我に何用ぞ??」

赤い瞳が怒りに満ちている、朱雀として"鬼"に捕まるなど屈辱以外何者でもない。


((支配から解放されたのは、ある人間と対峙した時、力は平安の世から今まで使わずにいた力を解放したため))


「・・・・・・・・」


((最後の賭けだったのです!!
時空を見ていたら、あなた様が時空を移動しているのが見えました。))


女は朱雀の足元まで来ると方膝をついて礼の姿勢をとった。


((私を解放して下さった方は、私の血をかぶり…私の血は労咳を移してしまう…
あの方は私のせいで労咳に…))


女は下を向いてる為に表情は見えない、だが本気なのは気配で伺える…。


((私の力はもう殆ど残っていません
あなた様を此方に引き寄せる為に全てを使ってしまいました…あなた様なら労咳を治せるはず…
お願い致します、あの方を治して下さいませ!!))


この時代、労咳は不治の病、一度労咳にかかれば…それは即ち…死…


「一体我に誰を治せと言うのだ…??」

女は拳を握り締め、一言…


((新撰組一番隊隊長沖田総司…))


「?!?!」

待て待て…沖田総司は労咳で死亡したはず、それが違うと言うのか??

この鬼が嘘を言っているとも思えん、だが史実を変える訳にはゆかぬ…


・・・・・それとも・・・


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