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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第13章 "心"
鏡の効果範囲も分かり、土方は遠いモノは無理して追うなと命令を出した・・・
確かに"鬼"一体に半刻も掛かるような遠い場所に移動するのは、体力的負担が大き過ぎる‥
そして結局の所、鏡のせいで"鬼"の始末は総司と瑠衣二人だけの仕事になってしまった。
それに、有事になれば一番隊本来の隊務もある…
これ以上二人に肉体的にも精神的にも負担を掛けれないのが、今の現状なのである・・・
「おーい、総司ー瑠衣ーお団子買って来たよ!」
藤堂がお団子の入った包みを片手に幹部棟をウロウロと歩いている…
隊服を着ている所を見ると巡察の帰りだろう。
「お団子ですかぁー」
総司は自室から飛び出し、藤堂の元へ一目散!!
瑠衣はようやっと布団から這い出て来た。
(はぁー力不足…)
毎日力を使い、更に夜の巡察という名の"鬼"退治…
力も体力もかなり不足気味である。
(華因の補給が無いと完全に伸びてるな…)
売れっ子天神月詠=華因のお蔭で倒れるまではいかないものの(一日三人も相手をしてたりしてるのは暗黙の了解…)やっぱりキツい・・・
それに最近非番らしい非番も無いので、密かに島原で力を調達する事すら出来ないこの状況‥
本来はそんなに睡眠を必要としない筈なのに、力不足の為に毎日昼近くまでぐっすりである。
「平助お団子ー!」
打って変わって総司は元気いっぱい…
知らない内に力を分けて貰い、更に護神刀の脇差しが総司の事を守っているようである。
「総司…
甘味になると相変わらず見境ないなぁー」
藤堂は、はいと団子の入った包みを総司に手渡す。
「ぁはは…
ありがとうございます平助」
縁側に座り早速お土産であるお団子の包みを開く。
「いただきまーす」
これでもかと次々お団子を口の中に放り込んでいく…
そんな頃に瑠衣はやっと着替え終わり縁側に出て来た。
「…平助、お早うございます」
まだ完全に目覚めていないのか、眠気半分のぼーっとした顔である
「瑠衣お早う…
って…何その顔!?」
目が半分開いて無く、顔色は青白く悪い…
悲しいがな‥自分のこの体の性質のせいで、痩せるという事は無いのだが…
推定十九で成長も老化も止まっている為、外見上は全く変化しない…
しかし、顔色だけはどうしようも無いらしい…
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