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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第13章 "心"


「はあ…
疲れ溜まっているんですかね…
とりあえず顔洗って来ます」

そう言い残し手拭い片手にフラフラと井戸に向かう…

「総司、瑠衣大丈夫なの?」

流石に心配の色を隠せない藤堂、あの顔を見たら当たり前‥

「そりゃあ心配ですよ…」

お団子片手に総司は言う…
確かに最近の瑠衣の顔色の悪いのは確かで…
幾ら強いとは言え相当無理をしているのだろう。

「ちゃんと休んでいるのかな?
何か心配……」

藤堂は井戸の方向を見ながらそう呟く。

「…本当に…そうですね…」

総司もお団子片手に井戸の方向を見る。


(私の心配ばかりで自分の事は後回しの方ですから…)


脇差しの件といい、非番には朱雀様との連絡係を買って出(今までは土方か山崎が外宮に水晶を運んでいた)休む暇無く仕事をしている。

「僕達通常隊務でもキツいのに、総司と瑠衣は特殊なあの夜番ばかりだよね、総司だって無理はしてないの?」

「私?
それが最近不思議な事に元気いっぱいなんですよねぇ…」

本当に良く食べ、しっかり睡眠をし、あまり疲れない…
一時期調子が悪い事もあったが、そう考えれば瑠衣が来た頃からそれも無くなっている。


「兎に角‥今日は非番ですし、一度ちゃんと話してみます」

「うん、僕もその方が良いと思うよ」

部下の体調管理も隊長の仕事といえば仕事である…
体調不良でバタバタと寝込まれたら、隊務に支障が出てしまうから。

「じゃあ僕、報告が残ってるから行くね
ちゃんと瑠衣と話するんだよ?」

「えぇ…」

そう言い残し、藤堂は土方の執務室に向かって行く。


(兎に角話さないといけませんね…)


のんびりお団子を食べながら、総司はまだ井戸の方角を見ていた。



「・・・
冷た……」

此方井戸で顔を洗っている瑠衣…

手拭いで顔を拭き、大きく背伸びを一つ…
そして桶に入った水に映った自分の顔色を見て溜め息一つ……


(あぁ…
本当に顔に出てるなあー
まさか化粧で誤魔化す訳にもいかないし…
どうしょう…)


現代と違って、この時代の化粧品‥粉白粉は匂いがキツいのですぐバレてしまう。
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