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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


屯所…



あれから数日…
やはり"鬼"の出現は倍近くに増えた…

瑠衣と総司も対応に追われ(夜中中京の街を走り回る事に…)忙しく日々が過ぎていた…。


そんな中、瑠衣は提案があると総司に言い、今二人揃って土方の執務室に居る…


「で…
提案って何だ?」

"鬼"が増え街の人々にも被害が増え、土方の仕事もまた増え、書類の山が何時もの三割増し…
‥といった所か…
流石の土方も溜まる書類に苛々が隠せない様子。


「はい、今まで"鬼"の捜索は沖田先生と二人でやっていましたね?」

確認とばかりに瑠衣は問う‥

「あぁ、そうだが、それがどうした??」

「個人個人で"鬼"の捜索をした方が効率が上がります…
幸い鏡もありますし、一人でも捜索可能です…
自分も沖田先生も決して弱くは無いんですから、その方がより早く"鬼"を処理する事が可能だと思います」

「だがな…橘…
もし"鬼"ではなく不逞浪士ならどうする?」

「この"鬼"騒ぎで深夜の不逞浪士の出現率は減少しております、浪士達も"鬼"には喰われたく無いかと…
ですので不逞浪士と出会う確率は限り無く低いです」

「…なる程…」

土方はせっせと筆を進めながら暫く考えている
瑠衣と総司は沈黙して、そんな土方の背を見つめているしかない。


「総司、この話はお前も同意の上なんだな?」

「多少不服ですが、現状を考えると納得するしかないです」

「・・・・・
分かった、とりあえず試しに数日別々に行動してみろ、それが上手くいったら正式に認めてやるよっ!」

「ありがとうございます」

瑠衣は土方に向かって、礼の姿勢を取る

「ならば話は此処までだ、俺は忙しい…」

結局土方は二人の方を振り返る事無く話を終わらせた…


「分かりました、沖田先生良いですね?」

「えぇ、仕方が無いですからね」

「では副長、自分達はこれにて失礼します」

「あぁ……」

二人は立ち上がり、土方の執務室を後にする
時はもう夕刻過ぎ、もう少しで巡察時間になるので悠長に構えてもいられない。



「本当にやるのですね橘さん…」

「はい、自分は沖田先生の方が心配ですよ?」

自室に戻る廊下を歩きながら、二人は話を進めていく・・・
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