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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第17章 "試"
二人が屯所に戻った後、報告書を作り(この時点で総司と話を上手く合わせた)土方に報告を済ます、山崎のおかげで遅くなったのは不問に…
瑠衣は、ふと斎藤が気になり、部屋を覗きに行った。
「斎藤さん、橘です、よろしいですか?」
「…あぁ…」
どうやら目は覚めているようだ。
そっと障子を開け、斎藤の部屋に入る…
其処には刀の手入れをしている斎藤が居た。
「斎藤さん、大丈夫でしたか?」
今更とも思うが、一応聞いて見る。
「あぁ…
屯所に戻り直ぐ目が覚めた、怪我は掠り傷程度だ」
「それは良かったです、自分も沖田先生も怪我無く終わりました」
「…そうか…」
「はい、ただ山崎さんに預けてるような真似をして、申し訳ありません…
あの時、少々立て込んでおりましたので…」
山崎に預けっ放しが気になった訳で…
教示の高い斎藤だから…
「いや、気にしてはいない…
実際足手纏いになったのは俺だからな‥」
「そんな事はありません」
「橘…」
刀の手入れしていた手を止め、斎藤は瑠衣に向き直る。
「お前がどう思おうと、今回足を引っ張ったのは確かだ…
俺はお前のように強くは無い…」
「…自分だとて…
強くは無いですよ…
沖田先生の止め役が暴走したんですから…
まだまだ未熟です…」
暴走したのは本当、瑠璃の死に我を忘れてしまった…
「ふっ…
橘、お前らしく無いな…」
「自分らしく無い‥ですか?」
斎藤は優しい表情で瑠衣を見る。
「何時ものお前ならば、後悔と言う言葉は無いように思うが?」
「・・・・・・・」
後悔…
しているのだろうか?
斎藤を置き去りにした事も…
暴走も…
総司に事実を話た事も…
いや、総司に事実を話した事には後悔は無い…
逆に良かったと思っている。
ならば、なんの後悔だ??
「途中で気を失った俺には分からんが、忍が一人残忍なやり方で殺されていた…
それに関係があるのでは無いか?」
「・・・・・・・」
後悔の原因多分それは…
瑠璃の死‥だ…。
自分が躊躇わなかったら、あんな事にはならなかった…
「…確かに…
後悔はあります…
自分がもっと早く…」
瑠衣は拳を強く握りしめる。
「お前は全力を尽くしたのだろう?
俺から見ればそう思ったが?」
自分は全力だったのだろうか?
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