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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第5章 "誠"
あれから二日が過ぎた
早いもので、当代様と会津公の紹介の書状は出来上がっている
そして自分は江戸の旗本橘家の三男坊と言う身元まで揃っていた
「手際が良い…」
今瑠衣は壬生の屯所に向かって歩いている…
「あまり目立つのもなぁー」
あくまでも自分は借りの人間、全てが終われば自分に関わった人々から記憶を消さなければならないのに‥
しかし、これは始めからかなり目立つ…
当代朱雀と会津公…江戸の旗本橘家…
別な方法を考えた方がマシだったか、そんな考えをしながら歩いている間に屯所に着いてしまった・・・
「あのー」
「何奴っ!!」
門番に足止めを喰らう、当たり前と言ったら当たり前
「此処が新選組屯所と知って来ているのか?
餓鬼に用は無いっ帰れ!!」
三日前にも似たような事があったなと苦笑しつつ…
瑠衣は平静を保ち門番に言った。
「自分は江戸から来た橘瑠衣と申します、此方の局長、副長には話しが通っているはずですが、お聞きになっていませんか?」
門番は橘の名前に心当たりがあったのか‥
「しばし待たれよ」
そう言い中に入って行く…
これもまた三日前と同じ光景…
暫く門の前で待っていると、中から女顔をした背の高い人がやって来た‥
「あなたが橘さんですか?
話しは近藤さんから聞いています、さぁ中へどうぞ」
にこにこ笑うこの男こそ、そう水鏡で見た沖田総司である
「では…」
総司に続き瑠衣も屯所の中に入って歩き始める…
敷地内に入ると、男達の勇ましい声が聞こえる…
(道場か…)
そういえば、しばらく手合わせなぞやって無いと思う
強いて言えば相手がいないのだ…
自分が‥朱雀である自分が強すぎて…一族の武将共でも相手にならない
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