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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第5章 "誠"


「どうかしましましたか?」

総司は瑠衣の前に回り込み、しげしげと顔を見ているのだが‥何故に?
理由が分からない…

「い…いえっ…
つい道場の方に気が向きまして・・・・
と言うより顔‥近いですっ、えーとー・・・・・すみません、まだ名前聞いていませんでした!!」

知ってるとは言えず・・・嘘をつくのも大変である…

「あぁ!!
そうでした、私は沖田総司と言います」

相変わらずにこにこと人の顔を見てるのだけど…

「橘瑠衣です
沖田さん…沖田先生ですか?」

「先生なんて偉く無いですよー私より凄い人は此処にはいっぱい居ますしー」

手を振り回し否定する総司、そんな仰々しい行動に少しだけ可笑しくなってしまう


「確か新選組一の剣豪と聞いておりますが?
それと…自分の顔に何かついていますか??」

言われてきょとんとしているのは総司の方…

「自分何か可笑しな事でも‥」

総司は‥はっと我に返り慌てて口を開く


「いっいえ…剣豪なんて……
私より強い人は沢山居ますよ
それに…」

「それに??」

瑠衣は首を傾げる……

「綺麗だな…って…」

「・・・・・・・・・・」

一体何なんだ…

「男に綺麗と言われても嬉しくありませんが…
沖田先生も言われるのではありませんか?」

借りにも男として新選組に来ている、それなのに"出た言葉が綺麗"ですかっ!!

有り得ない事に怒りがふつふつと湧いてくる、自分はこんなに感情豊かだったか??


(コイツどんな性格なんだ!?)


思いっきり突っ込みたいのを必死に我慢我慢と自分に言い聞かせ、精神の安定を図ってみる


「あーすみません、そうですよねぇ橘さん男ですから嫌ですよねえ‥
私も同じ事言われたら斬っちゃうかも」

あははと無邪気に笑う総司に最早何も言えない・・・


(遠回しに言ったんだが…)


全く気づいて無い様子に、この先この組は大丈夫なのかと心配になってくる瑠衣であった・・・・・

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