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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
近頃"鬼"の出現数が減り、仮ではあるが、つかの間の平和な時間が訪れる・・・・・
瑠衣は相変わらず毎回では無いが、非番の夜に術石の捜索をしている
今度は総司にも話して、逆に居ない事を隠す共犯になって貰っている現状。
"鬼"の減少に伴い、完全な夜隊務から、五日毎に通常隊務と夜隊務を交互に行う事に変更になった。
五日夜・非番・五日昼・非番…前に試した隊務体制である…
京の街にもうっすら初雪が降り、冬が足音を立てて近付いている…
瑠衣としては、そろそろ歴史に残る出来事が、此から始まる暗雲の前触れに見えるのだが…
こんな時に通常隊務に戻れるのは有り難い、何せ一番隊である、多分此からドンドン忙しくなる筈。
「はぁー
寒いですねぇー
橘さん、縁側でボーっとしてると風邪引きますよ??」
瑠衣はフワフワと舞い降りる雪を縁側に座り眺めていた…
「あぁ沖田先生、自分ならこの程度の寒さは我慢出来ますから」
「それでも羽織り一枚くらい羽織って下さい、見てる私が寒いです…」
「単に先生が寒いだけでは無いんですか?」
今は昼時過ぎた辺りか‥誰が聞いているか分からないので、呼び方を元に戻している二人…
案外器用に言葉使いを変えているのである。
「私は、京の寒さは苦手ですねぇー」
「江戸とは違い、かなり冷え込みますから」
「そうなのですよー
底冷えするみたいな、ジワッとした寒さですからね」
総司も一応縁側に腰を下ろす…
とは言っても、両手を袖に引っ込め、如何にも寒いですといった姿なのだが…
「夕方の巡察が終わった後に火鉢貰って来ましょう、流石に夜の冷えはキツいですから」
「そうですねぇ、冷たい布団は勘弁です」
しかし…
今はまだ冬の始め、本格的に冬になったらどうするのか…
瑠衣の頭に疑問が浮かぶ。
「先生…
冬本番はどうしているんですか??」
「それはそれで諦めが付きます、この中途半端な時期が苦手なのですよ」
「・・・なる程・・・」
要は季節の変わり目が苦手と言う事か…
京は変わり目が結構ハッキリしてるから……
「それより橘さん、もう少しで巡察の時間じゃ無いのですか?」
「あ・・・・・」
ボーっとしていたので、時間を忘れていたらしい…
「さっさと戻って支度しましょう」
「そうですね」
そう言って、二人は縁側を後にした・・・