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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
とある神社の一室ー
「主…」
「星光か…」
相も変わらず主と呼ばれる男は、結界陣の側に居る。
離れない…
いや、離れられないのが本当の所か……
「新撰組が橘瑠衣を救出しました」
「新撰組が動いたか」
「はい、しかし橘瑠衣には、体も心も相当な打撃を与えたものと…」
「……
だろうな、あの手の輩は餌を前に手加減なぞせん」
「私もそう思います」
「まぁ逃げられたのは良い、次は何処を狙うつもりだ?」
星光は暫し考える。
「やはり橘瑠衣ともう一人"鬼"に関わる沖田総司を…」
「そうか…
上手くやるが良い」
「はっ!」
星光は用は済んだと姿を消した。
「くくく…
星光の仕返しか…
何処まで持つか……」
男は笑いながら、また結界陣を眺めていた・・・・・
忙しい中、土方は頭を悩ませていた。
高杉晋作が瑠衣と接触してから後、全く足取りが掴めない。
月詠の所にも顔を出して居ない…
長州藩邸にも姿を出して居ない…
「一体どうなってるんだ?」
監察方の調べでは京からは出てないと言う…
では何処へ?
何が目的だ??
大人しくしている玉では無い筈、何かを計画し潜伏しているのか、それとも……
土方の悩みは尽きる事がない・・・
一方瑠衣は総司と街に来ていた。
約束通り総司は瑠衣が街に出ると言ったら、自分も付いて行くと言った。
二人とも髪を上に一本で結っている、それも色違いのお揃いの髪紐で…
「今日は何処行くのですかぁー?」
「特に決めてませんよ」
「じゃあ甘味処行きましょうよー」
「総司の奢りならねー」
「良いですよ
瑠衣はあまり食べませんし私が奢ります」
「げっ!?」
失敗したと、瑠衣は渋い顔をしている。
「総司が食べ過ぎだと思うんですが・・・・」
「普通ですよ?」
「いや…
絶対普通じゃ無い」
「普通ですって…」
そんな事を話しながら、二人は仲良く甘味処に入って行く・・・
此から先も、まだまだ事件が待っているとは思わずに・・・・・
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