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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第21章 "術"


「…悪戯……」

「あーえぇ…
当代様というか私もですが…
その気になれば接吻だけで媚薬効果が出るんです、まぁ…
ついそれに当てられたというか…
当代様は完全に確信犯でしたね…」

「……」

「あんな事、あれただ一回のみですよ…
その後は総司の見ている様に、自分の力を玉に変えて相手に与える…
上級を倒した時に見ましたよね?」

「…えぇ…
朱雀様が赤い玉を持って現れて、赤い光が瑠衣の中に入っていった…」

「その通りです"力の玉"というんですが…
この間この符と石の材料を頂いた時に、一緒に入っていましたよね」

「あぁ…
ありましたね」

「あれで力を補給出来るんです、私は今、自然からは補給出来ないので、他から補給するしかありませんから…」

「補給出来ない…」

「えぇ、今は当代様の時代であって私の時代ではありません、だから私は自然の加護が受けられないんです…
だから仕方ないですけど、人間から力を少し頂いています…
といっても実行役は月詠ですが…」

「確か‥月詠さんが島原に居るのは…」

「えぇ、人間の男から力を少し…
床上手なんて触れ回ったのは、それが目的だから…
話した通り、今の所は私と月詠の生命線ですから」

この話は嫌いだ…

真実なんて総司には‥言えない、あの屋根の上で話したので終わりだと思っていたのに……


「でしたら私から力を補給すれば良いのではありませんか?」

「……
今は無理です、瑠璃の力の毒が抜けて直ぐの状態でそれをしてしまえば、元に戻ってしまう可能性があるんです…
瑠璃の努力を無駄にしたくない…
それに……」

「それに??」

「総司とはその‥そういう目的でそんな事したく‥無いです………」

少しの後ろめたさから、つい俯いてしまう…

「私は総司が大切なんです…
だから…
他とは一緒にしたくない………」

つい弱腰に小声になってしまう…


「そういうふうに言われると嬉しいですねぇ」

「…馬鹿……
兎に角…
高杉の方はなんだかの手は打ちます、やられっぱなしというのも性に合いませんし…
その後にいる奴も……」

「…それが心配なのですよ…
私では力になりませんか?」

総司のそんな言葉に目を丸くしてしまう…


「クスッ…
十分守って貰ってます…
心を……
でなければ、今頃本来の力で暴走しているか発狂してますよ…
多分………」
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