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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第21章 "術"

「クスッ‥
少しは自惚れて良いのですかね?」
「‥十分自惚れてて下さい」
そう言いまた笑い出す。
そんなたわいのない会話をしながら、滝を抜け山道を抜け、京の街中に入った・・・
相変わらず人気の無い深夜の街中、"鬼"騒動からは地元の人達は夜の外出を一切しない。
もしこんな時間に人が居るならば、余程の馬鹿か、京の外から来た怪しい浪士共だろう。
そろそろ長州辺りの動きが活発になる筈、それに合わせて諸藩の浪士達の動きも活動的になっていく…
(そういえば…
そろそろ坂本竜馬辺りが京に入っている筈だな…)
歴史的観点から考えて、ふとそんな事を思ってしまう……
幕末‥歴史の立役者
坂本竜馬が居なければ、明治の世は来なかっただろう‥
だがそれと共に、かなりの変人とも伝わっている。
(天才と馬鹿は…
と言うが、面白そうだから、一度会って見たいな…)
根本的に中立な人間、佐幕でも倒幕でも無く…
まぁ結果的には倒幕派になるのか‥
「瑠衣?
何を考えているのです??」
総司の言葉に、深く考えていた思考を遮られた。
「はぁ…まぁ…
どうせなら会ってみたい人物が居まして…」
「会ってみたい‥ですか?」
「はい、今は何処に居るのか…(見当は付いてるが‥)兎に角、実際にこの目で見てみたいですね」
「へぇ-
瑠衣に其処まで言わせる人物とは、どんな方なのですかね」
総司は興味深げに瑠衣の顔を見るが…
「え-あ-
ぁははは……」
即答は出来ない、新撰組にとって坂本竜馬は倒幕派に入る‥多分‥
それに先の歴史に関係するので、迂闊に話せない。
「まぁ、瑠衣がそう言うのなら何かある人物なのでしょうね」
「えぇ…」
自分が答えたく無い時は無理して聞き出さない、そんな総司が有り難い。
「それにしても、今日は"鬼"の気配も人の気配も全くありませんねぇ」
「そういえばそうですね、普段なら怪しい人の気配くらい有るのに…」
街中を歩いているのに、静まり返って全く気配は無い…
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