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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"

とある神社の一室ー
何時もの主が居られる部屋では無く、普通の作りの土間に星担(せいたん)は星光を探しに来ていた。
「星光」
女忍星光…
今日は覆面はせず、土間の中央で薬草作りをしている。
黒髪・黒目、見目は良い部類に入るが、人塵に混じれば、その存在は薄くなる感じの女である。
対して星担は星光と同じく黒髪・黒目、細身の綺麗な顔立ちで、女共が群がりそうな怪しい雰囲気を持っている。
どちらが上というのは無いが、星担の方が指揮を取る事が最近は多い。
「どうした星担?
珍しいな‥私に用事か??」
星担が入って来たのを気にせずに、星光は薬草作りを続けている…
「あぁ、星光お前、里の妙薬を持っているか?」
「里の妙薬?」
この時初めて、星光は手を止めて星担の方に振り向いた。
「‥有るにはあるが、どの妙薬だ?」
星光は立ち上がり、行李から箱を一つ取り出し薬を探し始める…
「そうだな…
毒薬と媚薬、それと常習性のある麻薬、それに伴う解毒剤と言った所だな」
「ふん、何を考えているんだか…」
そう言いながら、星光は箱の中から次々と薬の入った袋を取り出していく。
「これで良いか?
麻薬は少し多めにしておいた」
星担は袋の中身を確認し自分の懐に入れた。
「あぁ十分だ、それと俺は暫く此処を留守にする、主の警護を頼んだぞ」
「・・・分かった」
お互い理由は聞かない、多分それは主の命だから…
自分達は忍、主の命を第一とし、任務を果たす、それだけが己の存在理由。
「ではな」
星担はあっさりと土間を出ていく……
そんな星担を暫く目で追っていたが、星光はまた薬草作りを再開した・・・
「さて、今日も元気に"鬼"退治と生きましょうー!」
総司は今日も元気いっぱいに、夜の京の街中を歩いている…
いや、現代で言ったらスキップとでも言うのか?
とにかく、そんな軽やかな足取りで、大通りを歩いているのだ……
「はぁー
総司、何故そんなに元気なんです?
普通この季節ならば、寒いとか言ってやる気が出ないもんですよ」
瑠衣は呆れ半分に、無駄に元気にはしゃぐ総司を睨む…
「え~!!
瑠衣仕事ですよぉ、しゃんとしましょうよ」
「・・・
総司"だけ"には言われたく無いです・・・」
つい"だけ"の部分だけ強調してしまった……

