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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第22章 "罠"

おさぼり常習犯の総司に、真面目にとか、仕事とか言われるとは…
瑠衣も流石にガックリと肩を落とす・・・・
別に自分は寒くは無いし(相変わらず着流し姿)、仕事もしっかりこなしているつもりだ。
だが、何故か総司に言われると無性に凹む・・・
いわゆる普段の行い‥という奴である。
「やだなぁ、私もちゃんと仕事してますよぉ」
心外ですと言わんばかりに頬を少々膨らませて、総司は瑠衣の前を歩いている…
(いや‥
日常的に考えて、真面目なのに、無理があるのではないのか??)
後を歩く瑠衣は、ついそんな事を考えてしまう。
(真面目と不真面目の差が激しいから…)
小さな溜め息一つ、前の総司には聞こえ無かったらしい……
人斬りや、場面場面で真面目な総司と‥
普段何も無い時の、不真面目な総司…
二重人格かと思う程、落差が激しい総司の性格、瑠衣にしてみれば、どちらの総司も総司なのだか…
一般論で言えば、天才と馬鹿は紙一重のような性格の総司である・・・
「では、今日は真面目な沖田先生に全てお任せします」
つい意地悪な事を言ってみたくなる瑠衣。
「なっ…
それは無いのではないじゃないですかぁー!?」
総司は流石に嫌な焦りを感じる…
前に似たような件で、本当に一人で明け方まで"鬼退治をさせられた経験が脳裏を過ぎる・・・
「元気有り余っている様ですし発散するのに、丁度良いんでは無いですか?」
「瑠衣ー
私が悪かったです…
ですから、一人で朝までは勘弁して下さい‥」
「分かれば良いんですよ」
瑠衣はそう言って"鬼"の反応を追い掛けている。
「はぁ…
意外に冗談が通じないのですからぁー!」
「自分にそんな感覚はありませんので…」
少し先に居る"鬼"を見付け、スラリと刀を引き抜く。
「先に行きますよ」
そう言い残し、総司を追い越して瑠衣は"鬼"に向かって走り出した。
「あー!
待って下さいよっ!!」
瑠衣が走り出した直ぐ後を、総司は刀を抜き慌てて追い掛ける。
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