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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"
師走ー
師も走るこの季節、将軍上洛の話も始まり、少しずつ歴史が動き始める・・・
「で…
島原で男の変死体が発見されて以来、無差別の様な惨殺事件は一切無いんだな?」
土方の部屋ー
幹部達が集まり会議を行っている…
勿論瑠衣も幹部扱いなので同席しているのだが……
「はい、男の焼死体を発見し身元は不明ですが、不思議な丸い輪の様な武器が二つ発見されています、それに伴い惨殺事件の方は一切ありません、確証はありませんが、焼死体の男が一連の惨殺事件の下手人だったと俺は思います」
冷静に話す斉藤、仕事の時だけは良く話すと思う。
「けどよぉ、その焼死体の下手人は??」
原田が斉藤の横やりを入れてくる…。
「其れがさっぱり手掛かりがねぇ‥
惨殺事件の方は落ちてあったあの武器からして、其奴が下手人と見て間違いねぇだろ」
土方は目下目の上のたんこぶであった、惨殺事件の方は一段落と言いたいらしい。
「島原ならば土方さんが詳しいんじゃ無いですか?」
そこに永倉が追い討ちとばかりに、土方に目をやりニヤリと笑う。
「永倉てめぇ…
兎に角、島原でも何の情報も無かった…
それから余談だが、島原に付けていたうちの監察方が一人行方不明になってる…」
「監察方が?
では、その焼死体の男の犯行なの?」
藤堂は監察方が行方不明の方に、驚きを隠せないらしい。
「可能性は高いな…」
やはり冷静に頷く斉藤。
「じゃあの、その焼死体の男を殺った相手は、もっと強いって事かのう」
此処に来て、漸く井上が呑気に話す。
「総司、橘、あの武器に心辺りはねぇか?」
さっきから何故か沈黙している総司と瑠衣に、話を振る土方、あの武器を知っているのは、この二人しか居ない。
「ありますねぇ-
前に"鬼"と対峙した時に、出会った忍が所持していた物と同じ武器です」
「自分もそう思います」
勿論二人共確信して話している訳で…(当たり前の話だが…)。
「だがよ、総司と橘が相手して倒せなかった奴だぜ、一体誰が手を下したんだ?」
「それが分かれば苦労はしねぇっと!」
頭の上で手を組ながら、原田は呑気に土方に話している…
「だな」
「うん」
永倉と藤堂も原田の一言に同意のようだ‥と言うか、この場の全員が同じ事を思っているだろう
腹の内を隠す二人以外は………