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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第23章 "師"


暫くすると、廊下を歩き出したようで、気配は去って行った…

その気配をずっと追いながら、山崎はまた沈んでしまう。


「辛い思いさせてもうた…」

決して橘に辛い思いをさせたいと思っている訳じゃ無い…

寧ろ何時もの様に、頼って愚痴でも言って欲しい。

沖田はんと土方はん、それに自分しか橘が女だと知らないのだから。


「わい…阿呆やな……」

手を離し、夜空を見上げる…

やってしまった事は今更消る事は無い、だから何時までも橘の味方でいようと、そう心に決めながら・・・・・







瑠衣は自室に戻り、手早く布団を‥まだ説教を食らっているだろう総司の分も引き、寝間着に着替えて布団に潜り込む。

強制的に土方の部屋に置いてきた総司の事も…
辛そうにしていた山崎の事もあり……
今は誰にも触れられず、そっとして置いて欲しい。

だから頭から、すっぽり布団を被り寝たフリを決め込もうと思う。





暫くして、総司が部屋に入って来るのが、気配で分かった…

総司が今、自分の布団の上に居るのは、勿論分かっている。


瑠衣はじっと動かない様にして、ひたすら寝たフリをする‥気付かれたく無いから……


暫くすると、総司の寝息が聞こえて来た……


「・・・・・・・・」

多分着替えもせずに、疲れて眠ってしまったのだろう…
だが、今動けば総司は間違いなく感付く。

瑠衣は眠れないのは分かっていても、布団の中に転がりながら一睡も出来ずに、ただグルグルと頭の中で色々と考え、その内朝を迎える事になる。



だが、その答えは誰もくれない・・・


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