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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第6章 "同"


皆が寝静まった真夜中、瑠衣はそっと目を開ける・・・


(・・・・・・・)


隣の総司が寝ているのを密かに確認する‥が、この男の事だ動けば途端に目を覚ますだろう。


(…力で眠らせておくか…)


静かに‥悟られないように手を総司の方に向ける…
すると小さな淡く赤い光が現れ総司の体の中に入って行く…
それを確認し瑠衣はやっと身を起こす。


(起きないな・・・)


黙って眠っている総司の顔を見る…


(本当に女顔だな…)


何となく笑いたいのをこらえ、瑠衣は目的である行動に移る
総司の顔に自分の顔を近づけて触れるか触れないか位の口づけ…


(・・・・・・・・・)


しばらく総司の顔色を真面目に見つめていいた‥


(大丈夫のようだな…)


そう、瑠衣は口づけを通して自分の力を少し総司に流したのである
ごく稀に拒否反応を起こす人間が居る事を自分は忘れない…

拒否反応が起これば、力を与える所か相手を殺してしまう
何度も目にした事だ…


(これから少しずつ…)


瑠璃との契約、この男の労咳を治す事…
自分の力を少しずつ与え瑠璃の血と病原菌を退治していく…


未来から来ている自分には労咳は感染の強い病原菌だと理解している

例えるなら瑠璃の血は病原菌、血は肺に周り病巣を作り労咳という形で表に現れる

知っているのならば、的確に病原菌退治だけを目的に力を使えば良い…

今はまだ潜伏期間のはず、ならば広がってない今の内に治すのが得策というもの、もう少し後ならば少し厄介だったかも知れない。


(吐血前で助かる)


一般的には池田屋事件の時に初めて吐血した事になっている。


(今は…芹沢を暗殺し新撰組拝命の少し後、束の間の安定期)


けして明るい未来を歩む事の無い新撰組…
その中で"今"が一番幸せな時期では無いかと瑠衣は思う…

まだ夢を追いかけ、暗い影が見えていない一時の穏やかな時…


(そんな時間が何時までも続かないのは分かってるくせに…)


歴史の監視者である自分は数多の歴史を頭に叩き込んでいる、勿論新撰組の事も始まりから終わりまで全て…

あまり深く考えると軽い自己嫌悪に陥りそうなので、早々にに布団に戻り今度こそ本当に眠りに着いた・・・


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