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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第24章 "山"
「沖田先生こそ諦ていないですね…」
また一杯酒を飲み干し総司に返す…
大広間で本当に起きているのは山南、土方、斎藤くらいである。
「負ける気は無いので」
茶碗を返す…
「自分も負ける気は無いですよ」
瑠衣も茶碗を返す……
いつの間にか斎藤は潰れ、山南はふらつきながらも自室に戻ったようだ…
それでも総司と瑠衣の攻防は尚も続く。
そんな二人を煙管を吹かしながら、土方は一人呑気に見ている…
勿論土方は酒は殆ど飲んではいない。
(…化け物か彼奴ら…)
酒に弱い土方からすれば、二人の飲み比べは信じられない光景・・・
その間にも二人の攻防は更に続く……
「いい加減諦めて下さいよぉ…」
「嫌ですよ…」
折れない二人、周りに酒瓶ばかりがゴロゴロと増えていく……
深夜もかなり回った頃、粘りに粘ったが、とうとう総司の方が先に酔い潰れた…
「はぁ……
勝っちゃいましたぁーー!」
そう一言言って、瑠衣も大広間に潰れた……
ずっと眺めていた土方は、奥から布団を持って来てやり、二人に掛けてやる…
他の潰れた隊士達には既に布団を掛けてある、この二人で本当に最後だ。
「…此奴らに酒持たせると不味いのが良く分かったぜ………」
そう言って土方は漸く一段落付いたと、自室へと戻って行った・・・
夜中の大広間は、酔い潰れ彼方此方で布団を被された隊士達と、無数の空になった酒瓶が転がるという無惨な光景で・・・
だが、此が新撰組らしいのかも知れない・・・・・
こんな調子で、瑠衣の人生初、普通(?)の大晦日は過ぎていった・・・・・
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