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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第25章 "帝"


新年・正月も開け、いよいよ将軍警護の任が始まる時がやって来た・・・



新撰組は勿論末席・警備担当区域も中央からかなり離れた辺鄙な場所…

だが、新撰組一同はそんな事はお構いなし、警護の任に当たれるだけでも名誉と、気合いを入れて担当幹部と平隊士達は出陣していった・・・


勿論、近藤・土方・山南・総司・斎藤・藤堂・永倉・原田など主要幹部は皆警護担当で、御所周りの警護…

そんな中で、瑠衣は残り組として、今屯所に居る・・・・・





「なんか寂しいのう…」

今は井上と二人、炊事場の囲炉裏端で、のんびりお茶を飲んでいる。


「そうですね、何時も騒がしい左之達が居ないので、屯所内が静かですね」

瑠衣はお茶を啜り、ニコリと井上を見る。


「おや?
やっぱり寒い日はお茶に限りますねー」

其処に島田が炊事場に、ひょっこりと顔を出した…
山崎が警護組なので、島田は残りとなっている。


「おぉ、島田もお茶にするかね?」

「はい、お願いします」

囲炉裏端に瑠衣、井上、島田が集まる・・・



「源さんは良かったんですか?」

瑠衣は何故だか急に、井上に話を振ってみたくなった…

「何がだね橘ちゃん?」

「…
警護‥行きたくは無かったんですか?」

その言葉に井上はニッコリと笑い、瑠衣を見詰めた。


「大役は若いもんが主役じゃよ、わしみたいな年寄りは留守番が合っとる、それより橘ちゃんの方が行きたかったのでは無いかね?」

のんびりと茶を啜り、瑠衣に話掛ける…

「自分は…
これで良いんですよ……
沖田先生の影ですからね」

総司を表舞台に…

勿論それが正確な歴史であり、自分は存在しないのが正確な事、だから自分は裏方で良い。


「しかし橘さんの実力なら、十分に体長格以上の腕前、其れなのに勿体無いですよ」

「島田さん、誰かが裏をやらないといけないんです…
それに‥自分は隊長ではなく、一番隊の副隊長ですしね、副長も沖田先生の補佐として自分を付けてますし…」

「なんか不憫だのう」

井上がさも自分の事のように、すまなさそうに言う。


「源さん、自分何にも気にしてませんよ、それに副長に残ると言ったのは自分ですから…」
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