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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第7章 "刀"
チュンチュン…
小鳥の鳴き声とともに明るい日差しが室内に入って来る…
瑠衣はゆっくりと目を開けた…。
(朝か…)
隣で総司がまだ気持ち良さそうに寝っている。
(今の内に着替えるか)
テキパキと昨日持参した風呂敷から替えの着物を数枚取り出してみる。
(今日は非番なのだから着流しで良いか)
一番隊が非番ならば自分もまた非番、多少寝乱れたさらしを巻き直し、着流しに着替え、そして布団をたたみ押し入れに入れる。
そして手拭いを持ち、顔を洗いに外の井戸に向かった。
(んっ?)
井戸の周りには背の大きさが大中小と見事に揃った男達が先に顔を洗うのに集まっている、向かっているうちに向こうも此方に気づいたようである。
「よぉー昨日の新入りじゃないか!!」
一番大きい男が瑠衣に振り向き声を掛けて来た。
短く明るい茶の髪、黒くて少し細長い目、そしてこの時代にしたら、やたら高い背丈。
「おはよう御座います、えっと…」
「俺は原田左之助、隣のが永倉新八、で小さいのが藤堂平助」
「小さい言うな!!」
藤堂は原田を見上げて怒っているのだが、原田はあまり取り合っていない様子。
藤堂は黒い長い髪を結い、大きな丸くて黒い瞳、背は確かに自分の方が多少高い。
「事実だろ」
原田の言い分に永倉は笑いながら、藤堂を弄っているとしか思えない。
永倉は少し長めの髪を下の方で一本で結い、思慮深い瞳。
三人共昨日道場に居た幹部達、そして試衛館派の中核を成す人物達。
「昨日道場に居られましたね、隊長様方ですか?」
この期を逃す手はない、ニコリと笑いながら自分も会話の中に入って行く。
「おうよ、俺は十番隊」
「僕は八番隊、新八は二番隊」
原田は鼻高々と自慢する、対して藤堂はごくごく普通の対応だ。
「ところで確か橘…だったな、お前は何処に配属されたんだ??
昨日の立ち会いで総司を倒したのだから、かなり良いところに配属されたろ?」
永倉は顔を洗った手拭いを首にかけ、瑠衣に聞いてくる。
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