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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第26章 "考"


火事…


江戸時代、重罪とされていた罪の一つ……


木造建築主体のこの時代、一度火事が起これば、次々飛び火して、回りの家々を燃やしてゆく…

特に冬の空気が乾燥する季節、人々は火事に過敏になっている・・・・・





京ー池田屋ー



「やっと季節が巡って来た…
一同仕掛けは全て整っているな…」


「「「はっ先生!!」」」


池田屋の奥の一室…

長州藩士吉田稔麿…

女の様な顔立ちに、背がひょろりと高く艶やかな黒髪、少し派手目の着流しを軽く着崩し、長州藩士の前に座っている。


「先ずは、回りの家から離れている空き家を一件…
作戦通りに"天誅"の置き紙も忘れるな」

「承知しております、では我々は今から…」

「あぁ…
決して幕府の犬には悟られるな…
いいな……」

藩士達は次々と意気揚々に部屋から出て行く…

その目は皆やる気にギラギラと光っていた・・・




「・・・・・・・・」

吉田はその場を動かず目を瞑る…


(とうとう始まります…
松陰先生…!)


そんな中、高杉が部屋に入って、吉田の前に座った。


「稔麿…
とうとう始めたか…」

「…
あぁ、晋作‥邪魔はしないで欲しい」

「しねぇよ…
だが、やる事は見守っててやる、俺の性分だ」

「あぁ…
分かっているさ」

吉田はゆっくりと目を開ける、その目は決意に満ちた武士の目だ。


「稔麿、お前にはお前の先生に対しての義がある、俺が口出し出来る事じゃ無い、俺にも俺の義があるようにな…」

「奇兵隊か…」

「あぁ、あれが俺の義だ」

「そうか…
お互いあの方の為に」

「そうだ」

吉田も高杉を見る、その目も信じたものを突き進む、武士の目が宿っている。


「稔麿、俺達はもう後戻りは出来ねぇ‥」

「ならば進むのみ!!」

「あぁ…」

高杉にしてみれば、吉田のやろうとしている事は、はっきり言って反対だ…
だが今の吉田を止めるつもりは無い。

進む道は違っても根本は同じ"先生"…
吉田松陰が全ての原動力……
だから止めない。

幕府が憎いのは自分も吉田も同じなのだから…


「今日は良い風が吹いているな…」

高杉は窓を少し開け、外を見、風を確かめる。

「あぁ…
良く燃えるだろう」

「そうだな…」

後の池田屋事件に向けての、小さな幕開けである・・・・・
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