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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第27章 "辱"
夕方まで分厚い書物を読破し、瑠衣はやっと一息付いた。
「はぁ‥終わったぁ…
さて夕餉の時間かな?」
普段通り夕餉を取り、原田達と笑談したりと何時も変わらない非番を過ごしている。
一通り原田達をからかい終え瑠衣は自室に戻って来たが……
「あれ?
総司まだ戻って来て無いのか…」
子供達と寺で遊んでいるならば、親御さんが心配するからと夕方くらいには家に帰す筈…
その後に道草食っても、夕餉過ぎには屯所に戻るのが何時もの総司の行動。
「まさかまた甘味処に行ったとか………」
総司の事だから、あり得ない話しでは無いと思う…
そしてまた山のような土産付きとか……
瑠衣は多少引っ掛かるものはあるものの、とりあえずは気にしない事にして風呂へと向かった・・・・・
「・・・・・・・」
総司は知らない部屋の一室で目を覚ました。
体中を縄で縛られ、猿轡を噛まされて放置されてたようだ。
縄抜けしようにも、あまりにも厳重に何ヶ所も縄で縛られているので、それも出来ない。
(…不覚…
取りましたね……)
まさか、寺に行くのに刀を持たない時に狙われるとは…
幾ら非番でも刀を持たず外出する事はめったに無い、そのめったにに当たるとは思わなかった。
(しかし‥此処は何処ですかね??)
動けないので目だけで部屋の中を見回す、作りは何処かの屋敷のようだが、物が全く置いていない…
空き屋敷‥と言った所か??
(私だと知って捕まえたのでしょうか、それともただの浪人狩りか…)
気紛れの浪人狩りならばまだ良い、もし沖田総司と知って捕まえたのならば、命は無いと思った方が良いだろう…
不本意だが、其れだけ新撰組の沖田の名は敵方に有名になっている。
その時、男が数人部屋に入って来た。
その中心に居る男の顔を見て、総司は目を丸くする、見間違えられる筈が無い、この男は……
(高杉晋作!!!)
高杉は総司の前まで来て、此方を見下ろした状態で話出した。
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