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第27章 "辱"

「・・・・・・・・・・」

内容を読んだ瑠衣は、自分の感が的中するのを、嫌という殆ど実感していた。


(…あの男……
総司に手を出したら、例え禁忌に触れようとも…許しはせぬ!!)


文を握り締め、震えながら火鉢に放り込む、証拠は無い方が良い。


「あの野郎‥ぶっ殺すっ!!」

掟がなんだ!!

自分が追われこの命を差し出すか、水晶の中に閉じ込められ悠久の時を過ごせば済む事だ!!

それで総司が助かるならば、喜んで掟なんか破ってやる…

朱雀のやる事では無いかも知れない、だが今の瑠衣に取って総司は掟よりも大切な存在、自分の全てを掛けても守りたい。


(待っていろ…
必ず息の根を止めてやる…)


朱桜刀を手にし、瑠衣は見つからないように形代を二体用意し布団に寝かせる…

そして誰にも見つからないように屯所を抜け出し、目的地まで屋根伝いに走り出した・・・








瑠衣は屋根伝いをひたすら走る……

多分あの男は罠を仕掛けているだろう…
だが、それが何だというのだ!!

総司を助けるのが最優先、多少の罠など力で強引に押し切ってやる。





夜の京の街中を目的地まで屋根伝いを飛び走り、外れに近い場所に一件の屋敷が見える、此処が指定場所…


(それなりに人数を用意してるな…
それに高杉と‥総司の気配がある)


屋敷を見下ろせる大木の上で、敵の気配と屋敷の作りを頭に叩き込む…
いくら怒り心頭でも、此処は冷静に分析する、現代からずっとやって来た事。

策には策を…

瑠衣には至極当然、最悪総司を盾にされたとしても、何処かに抜け道は絶対にある。


(罠は確実にあるな…
巧妙に隠してはいるが、黒い気‥発動前の外法の気配がある……
自分を捕まえる為か…)


目的が自分ならば総司は暫く無事だろう…
だが、うかうかはしていられない、何時何があるか分からないからだ。

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