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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第30章 "桜"

「あ…あの…総司………!」
星光暗殺から数日後の夜、瑠衣は総司の向かいに座って、着物の裾を掴み、話難そうに総司に声を掛けた。
その顔は何故か少々赤い………
「??
どうしたのですか?」
総司はそんな瑠衣を不思議そうに見詰め、首を傾げるばかり。
瑠衣は暫く黙っていたが、思いきったように総司に話出した。
「あ…この間の…お願いの話なんですが……」
「お願い?
何でも聞きますと言いましたよね??」
女忍‥星光を倒したら、瑠衣はお願いを一つ聞いて欲しいと言っていた。
「あーはい…
お願いは…その……総司と泊まりがけで…夜桜見物…行きたい…です……………」
顔を真っ赤にして、目に涙を溜めてまで総司を見る瑠衣、その仕草が総司の心に火を灯す。
"グイッ…"
「あっ………」
総司に抱き締められ、瑠衣の顔は更に真っ赤に急上昇。
「そんな嬉しいお願いならば、幾らでも聞きますよ!」
瑠衣からそんな事を言い出すのは本当に珍しい、総司はニコニコ顔で瑠衣を抱き締めている。
「その……
ただの夜桜見物では無く…
私は女子の姿をしようかなと………」
総司はそんな瑠衣に驚くばかり、前に原田達に見付かりそうになって以来、キッパリと女子姿は諦めたと思っていた。
それが、また女子姿をしてくれるなんて嬉しく無い訳が無い。
「瑠衣本当ですか?
私としては瑠衣の女子姿は大歓迎ですが…」
「総司が喜んでくれる…ならば………」
総司の腕の中で、本気で顔を真っ赤にさせて俯いてしまっている。
「当たり前じゃないですか、それでなくても瑠衣の女子姿は綺麗ですからね」
「本当に?」
「えぇ、嘘は言いませんよ…
そうですね‥次の非番の時が満開では無いのでしょうか」
「では…次の非番に……」
「えぇ、楽しみにしています」
二人は笑い合い、どちらともなく唇を重ねた。
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