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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第30章 "桜"

((えー!!
華因無理ー!!))
恒例で華因から着物を借りようと思った瑠衣だったが、華因の渋い声が聞こえる。
((だってぇー
今日はお客いっぱいなんだもん、抜け出せないわよぉー))
売れっ子暇無しか……
((はぁ…
分かった、他当たってみる…))
((うーん…
メンゴぉーー))
そのまま会話は途切れてしまう・・・
「どうしよう…」
まさか男の姿のまま呉服屋とはいかないし…
後誰か、そっちに詳しい人は居なかったか?
副長…色々意味で却下……
原田達には無理がある……
「あっ!」
一人居た!!
毎回なのはちょっと辛いけど、一番知っていそうな人!
瑠衣は自室を飛び出し、幹部棟の反対側に走った。
「山崎さーん…」
「なんや橘、最近良く来るな??」
「山崎さんならば、何とかなりそうな気がしてー」
山崎の部屋に座り込んで、瑠衣はお願いの視線を送っている。
「今度は何や??」
こういう時のお願いは、とんでもないものが多いと思う。
「うーん…
山崎さん女装するでしょう……
女物の着物貸して欲しいなって…」
「はぁー!?」
忍の次は女かいな…
山崎も流石に呆れ顔になるのは致し方ない・・・
「本当は当てがあったんだけど、急に駄目になって…
後思い付くのは山崎さんしか居なくて……」
瑠衣の方は、しゅんと小さくなって山崎を見ている。
(ほんま…
人の気も知らんと……
はぁーー)
そんな姿でお願いされたら断りきれない…
山崎は仕方無しと観念した。
「分かったわ…
で、どんなんが良いねん」
「んー?
自分、女子の着物ってよく分かりません・・・・・」
「其処からかいなっ!!」
根本的問題以下……
溜め息と愚痴をこぼしながらも、山崎は奥の衣装部屋に入って行く。
瑠衣も隙間からしっかり覗いていたりする訳で…
(はぁー
橘に合う着物なぁー)
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