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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第30章 "桜"


「ん…そうじ…おはよう…」

大して寝てない頭で、総司に声を掛ける。


「おはよう…
といっても、まだ眠そうですね」

「う…ん…
総司の体…温かい……」

そのまま、また眠りに入ろうとする、総司の温もりは無条件で自分を安心させる。


「クスッ…
相変わらずですね……」

自分に寄り掛かり、眠ってしまった瑠衣を見る。

先程とは違い、安心しきった顔で眠っているようだ。

この方が何時も見る瑠衣の姿、自分の腕の中で安心して眠る子供のような……


(まだ少し早いですし、私ももう一眠りしますかね…)


眠っている瑠衣を起こさないように布団に寝かせ、何時ものように抱き込んで一緒に眠る。


二人だけの一番幸せな時間…………







「帰りも桜を見て帰りましょうか?」

「えぇ、総司にお任せします…」

昼近くに料亭を出て、昨日見に行った桜並木を見ながら屯所への岐路に付く。


「昼間見ても綺麗……」

「そうですね…
夜も良いですけど、昼の桜も捨てがたいですね」

「えぇ、私はどちらも好きです」

相変わらず、はぐれないように手を繋ぎ、仲良く歩く総司と瑠衣。


もう少しで桜が散る季節がやって来る。



瑠衣の心にも・・・・・



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