この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第12章 Fighting Moon
 


「勿論。朱羽もね。必ず、助けに行くから待っててね!」

「早く、来いよ。……待っているから」


 それでも泣きそうな声で。


「今度はあたしが、急いで追いかけるから!」


 朱羽がカバを追いかけて、急いで大人になろうとしたことを思い出す。

 それくらいの覚悟で、カバは追ってくるのか。


 朱羽は優しげに笑った。

 カバの位置からは、朱羽の目から伝い落ちた一筋の涙はわからないだろう。俺はそれを隠すように朱羽の首に腕を回し、背を向け手を上げた。


「じゃ、あと頼むわ!」


 一番緊張感のねぇのは俺か。


 いやいや。


「「「ありがとうございました」」」


 この偽物従業員三人組もだろう。

 こいつらは当主が暴れ出したり、話が悪しき方に流れていた時、空気を変えるためにと用意をしていた。本物にばれる前にとんずら決め込めばいいのに、どうしても朱羽になにか言いたかったんだろう。

 エールを込めたのか、力強いものだった。

 結城がこっそり親指を上げると、朱羽も微笑みながら親指を上げて通り過ぎた。


 ……やって来い、カバ。

 お前が、朱羽の呪縛を解くんだ。


 数日は寝泊まりする場所が違うだけで、俺達は断絶しているわけじゃねぇよ。カバの怪我が癒えるまでの話。監視役がお前の味方についたら……すぐ本家に来れるんだ。

 逆境をものにするお前の底力で、駄目なものは駄目だとはっきりいえるお前の強さと、その澄んだ目で……穢れきったジジイとババアをKOしてやれ。

 
 だから、カバ。

 今は朱羽に会えない力をバネに、英気を養え。

 最終決戦は、俺と朱羽がいる本家。

 ラスボス・裏ボスを倒しに来い。


 
 ……この状況を、俺は見越していなかったわけではない。


 万が一のために、だからあいつは動いてくれていたんだ。

 あいつもまた、本家で俺達の力になる。

 そんなあいつを、名取川家に"第三者"として送り出す。



 だから俺の代わりに……頼むぞ沙紀――。

/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ