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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
  

「キスだけで濡れちゃった?」

「……っ」

 真っ赤になるあたしの頬に朱羽がキスをする。

「可愛い」

 再びちゅっとキスをされ、唇の表面と上下の唇の間を朱羽の舌が滑り、あたしの官能の波をさざめかせる。

 視線を絡ませあいながら、互いの舌が伸び、触れあった瞬間、強い快楽の刺激に声を上げるが、朱羽が舌をくねくねと動かしながら、逃げるあたしの舌を搦め取ってくる。ひどく悩ましい声を出してきて、もうたまらなく秘部から蜜が零れてしまう。

 ああ、今は駄目だと思うのに、止まらない。

 このひとと触れあっただけでもう駄目だ。


「陽菜」

 とろりとした瞳が優しく細められた。

「この先、俺の子供、産んでね」

「……っ」

「かなりたくさん産むことになるだろうけど、がんばって。俺、結婚したら、ゴム使わないで、直のあなたと繋がることに溺れそうな自信がある。ちゃんと環境を見てだけどね」

 朱羽の手が、帯の下を弄るようにして裾を割ってくる。

「だから今は、ゴムの厚さの分離れちゃうけど、我慢して」

 具体的に想像してしまい、一気に羞恥が強まる。

「やああっ」

 あたしは両手で顔を覆って真っ赤になった。

 ふっと笑った声が聞こえた直後、肩を弄っていた朱羽の手が襦袢ごとぐいと着物の襟を大きく開き、露わになった肩に熱い唇で吸い付いた。


「ちょ……ああ……」

 あたしの肩にかぶりつくようにして、何度も吸い付き、何度も舌を這わせられ、朱羽の真向かいに横臥したあたしが声を上げて仰け反った瞬間、あたしの腰の帯に朱羽の手がかかった。帯の結んでいるところを取ろうとしているのか、ひどく身体が揺れる。

「なかなか、取れないものだね。こう、かな?」

「駄目、朱羽、帯といちゃ駄目!」

「なんで? 帯の下のあなたの身体が見たい」

「帯の中に、体型補正のために色々なものが入ってるの! あたしそれやって貰ったから、自分で出来ない」

「俺がしてあげる」

「駄目、見られたくない。まだ着物で美幸夫人のところに行くから、駄目!」

「時代劇みたいに、しゅるしゅるしゅると帯ってとれないんだ……」

 朱羽がため息をつく。

「あたしも、"あ~れ~お殿様~"を想像していたけど、現実は紐やら発泡スチロールみたいのやらタオルが出てくるの。なんか恥ずかしくて」
 
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