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いじっぱりなシークレットムーン
第13章 Final Moon
「気持ちよかった?」
必死に息を整えているあたしに朱羽が聞く。
「ん……。恥ずかしくて……すごくイッちゃった。それも、恥ずかしいよ」
背けた顔を戻され、上から朱羽が優しく微笑む。
「ふふ、恥ずかしかったんだ。あんなに気持ちよさそうだったのに」
「恥ずかしいよ。それに、あんなところを朱羽が見ているなんて……」
「はは。陽菜が見たのはいいの?」
「……アワビ料理は当分、朱羽にあげる」
「あはははは!」
「だけど朱羽……」
「ん?」
「……あんなところまで愛してくれてありがとう。……愛がなければ出来ないね」
「そうだね。あなた以外にしたいとも思わない」
「しないでね」
「しません!」
笑って抱き合い、キスをしながらベッドを転がる。
「陽菜、着物が気になるのなら、なにか洋服持ってきて貰おう。なにかあるだろう」
朱羽があたしの頭を撫でながら言う。
洋服……。
あたしは考える。
「ねぇ、美幸夫人なんだけど。あたしに会ってくれると思う?」
「ボイコットはするだろうね、忌々しいけど」
「……食事とかは?」
「きっと使用人に部屋まで持ってきて貰うんだろう」
「……使用人は会うんだ」
「まあ、生きるためだからね。なんでもして貰っているから、自分でやれることもなくなったんじゃないか?」
本当に嫌そうに言う朱羽の横で、あたしは考える。
少しでも早く、話をするために。
「あたしに、使用人の服借りれない?」
「なんで?」
「……彼女の望む、身分相応な形で、話をしようと思うの」
朱羽から愛を貰って、そして愛を確認して、それはあたしの勇気となった。
突撃の準備は整った――。
「使用人にも聞いてみたいことがあるし。だからお願い。ここからは、女同士の戦いなの。これであたしは、必ず勝って当主に提案を呑んで貰うから。そのために、使用人の服が欲しいの」
朱羽はしばらく渋る様子を見せていたが、あたしの変わらぬ意志に、ため息ながらに頷いた。