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いじっぱりなシークレットムーン
第5章 Crazy Moon

『仕方がない。俺は恋をしたくないというあのひとの心が欲しいんだ。飢えた心に結城さんが入っているのなら、あのひとの意志で彼と俺を同じにしないで欲しいんだ。……結城さんをけしかけたのは俺だ』
「なんでまた……」
『フェアに行きたいんだよ。それじゃなくても年の差がある。一緒に過ごした時間が短すぎる。信頼度が違いすぎる。それでも俺を選んで貰うためには、結城さんと同じ土俵に立たないとためだから』
「おいおい。同じところに立ったとして、カバがあいつ選んだらどうするんだよ。せっかくお前、今の位置にいるんだぞ。なにも得られないまま、あのじいさんの言うとおりに生きるのか?」
『……その時はね。渉さんには迷惑かけない。俺だけでいい。俺のマンションも車も沙紀さんにあげてよ。俺には必要なくなるものだろうし』
「朱羽!」
『だけどさ、俺もただ指を咥えて待つつもりはないよ。だから教えて? あのひとがいる場所』
「そこからだったらかなり時間が……」
『言え』
この威圧は誰に似たんだか。
ははは、カバ。
怒り狂った朱羽が来るってさ!
両腕を引かれてどちらに転ぶ?
なんで朱羽に電話かけたかって?
そりゃあ呼び出すためだろうが。
俺はただ面白いことが好きなんだ。
予想外の展開で、なにか化学変化起きるかもしれないだろう?
これを悪だくみというのなら、そうさせた自分を恨め。
あいつは帰国しても、お前しか見ていなかった。
他の男と消えるお前を、どんな想いで見ていたと思う?
下に行けばお前に会えるのに、なんでなにも言わずにいたと思う?
なんであそこまでフェア精神にこだわり、二週間もお前を待つと思ってるよ。
……朱羽をナメるなよ。

