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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「出すって、勝手に出ただけで……」
「……俺があなたを愛したのに、まさかあなたは、結城さんに愛されていると思ってたんじゃないだろうね」
どうして、このひとは。
「繋がりたいっていうのは、結城さんに言ってたんじゃないだろうね!?」
結城に対して、ここまでやきもちを焼くのだろう。
あんなに男の顔で、あたしにいやらしいことをしてイカせたくせに、ブルームーンまでは繋げないって、あんなに苦しそうにしていたくせに、どうしてこんな甘えたの駄々っ子のような顔を見せるんだろう。
胸が切なくなるほどに愛おしくて仕方がない。
この気持ちに乗せて、朱羽が本当に好きだと言いたいけれど、朱羽がブルームーンまで我慢しようとしているのなら、あたしも我慢しよう。
朱羽の気持ちも気になるけれど、だけどあたしはそれより、この心を伝えたい。
好きで好きで、ずっとこうして離れたくないくらい、ひとつになって溶けてしまいたいくらい、こんなに好きになったのだと、こんなに朱羽の前では女でいるのだと……、伝えたい。
枯れたあたしの心に朱羽が潤いをもたらした。
満月ではないのにここまで渇望していることを、ブルームーンでうまく伝えられればいいけれど、快楽に走りそうで怖い。
手紙を書いておこうかな。
繋がれた勢いで生じた気持ちだと思われないために、繋がれなくても好きだということを、先に手紙に書いておこうかな。それでブルームーンの時に渡すの。
「ねぇ、陽菜。なんで否定するとどころか、そんな顔するんだよ」
朱羽がむくれている。
否定する……って、なんだっけ。
「なんで結城さんの話題で、そんな女の顔になるんだよ!」
「女……きゃっ」
苛立ったらしい朱羽に強く抱きしめられた。
また朱羽の匂いが強くなる。
「本当にあなたがいつもの意識あると、ロクなことないね。あなたが俺を求めるのは、いやらしくなっている時だけかよ」
朝から甘い朱羽の匂いに、意識飛びそう。
「めちゃくちゃ腹立つ」
なんて可愛いんだろう。
こういう気持ちを、萌えるって言うんだろうか。
「……結城、嫌い?」
何も答えがなく、ぎゅうぎゅぅあたしの身体を締め付けるように腕に力を入れる。その力の強さこそが、彼の嫉妬なんだろう。
「仲良くなれそうにない?」