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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
あたしは少し息を吸い、吐くと同時に部下として言う。
「課長。課長は皆から頼りにされてますよ。あたしもそうだけど、結城も社長も残る全社員も、宮坂専務も沙紀さんも。実際課長は、何度も会社の危機を救いました。今回もそうです。それなのに、結城より仕事が出来ない、人望がないなんて言わないで。それは思い違いです。それに結城はあなたを嫌っていない。それはあいつの口から聞いたし、何年も友達をしていたのだから、それくらいわかります。結城はあなたになら背中を向けられる。それくらいの信頼を寄せている」
「……陽菜……」
「あたしは部下として、上司のあなたを尊敬しています。仲間として同僚として、心底頼りにしてます。ひとりの男として……あなたはあたしの中の女を目覚めさせた。あなたがあたしを可愛いというのなら、そうした顔を見せるのはあなたの前だけ。結城じゃない」
「陽菜……」
「この続きは、ブルームーンで言わせてね」
潤んで揺れる瞳。
視線が、熱く絡み合う。
どらからということはなく、自然と唇が重なり、舌を絡め合うとふたりから甘い声が漏れる。
互いを弄るように絡め合い、言葉の代わりにあたしは朱羽を求める。
部屋に差し込む朝の光が、はだけた朱羽の背中を照らし出す。
「朝、だね」
朱羽が笑って唇を離す。
「朝、だね」
あたしも笑いながら、朱羽を見上げる。
「三日目の夜は、俺と一緒だよ?」
「……うん」
ちゃんと結城に言おう。
あたしは朱羽が好きだと。だから結城の気持ちに応えることが出来ないと。結城は言ったから。
満月のことを朱羽が受け入れてからじゃないと、話し合わないと。
結城なら、きっとわかってくれる――。
「嵐は……止んだようだね。これならあなたの家の探索もできる」
……待ち受けるものがなにか知らずに。