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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
***
嵐は一転、今日の天気は朝から快晴。付近の土砂崩れも、既に簡易的だが補修工事がなされたようだ。
「本当になにからなにまでお世話になりました!」
スーツ姿に着替えたあたしは、ばっちりメイクもして玄関のところで頭を下げた。
「戻りましたらすぐ、見積書を出させて頂きます。できる限り頑張りますので、これからもおつきあい、よろしくお願いします」
背広姿の朱羽は、艶やかな黒髪に眼鏡を光らせ、夜に魅せたあの色気はどうしたんだというくらい、涼しげな顔で挨拶している。
……絶対、あたしにいやらしいことをしていたとわからないよな、この理知的な外観からは。
「ふふふ、私はあなた方が気に入ったわ。是非是非プライベートでやじまホテルをご利用下さいな。名刺の携帯にお電話下されば、全国どこのホテルでも、ムード満点で声が漏れないお部屋を用意しますので。その時は是非、避妊具のご用意を。もしあれなら、薄いの用意させますから」
矢島社長は、袖を口元にあて、くふふふふと笑う。
朱羽はわざとらしい咳払いをして、ノーダメージぶりを見せつけるが、耳がほんのりと赤いことは、きっとこの女社長なら見抜いているだろう。
「あ、タクシーが来たようね。……あなたっ、早く!」
社長が後ろを見て怒っている。
あなたとは、誰ぞや?と一緒に振り返ったあたしだが、そこに居たのはブルドッグ沼田さんだ。