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いじっぱりなシークレットムーン
第1章 Cheery Moon
朝の光に起きれば、気分は爽快。寝ている彼の横から立ち、シャワーを浴びようと起きた時、彼の荷物を椅子から落としてしまった。
黒い鞄から飛び出したのは――、
「……えっ!?」
『3-B』と書かれた、お手製の時間割表。
家庭教師でもしているのかと思って鞄に入れると、写真が二枚出てきた。
一週間前の日付が記されたその写真にあったのは、『体育祭』と書かれた横断幕の前にいる、体操着姿の彼。
他の子よりも飛び抜けて背の高い美貌の異端児は、まさしく今の彼そのままの姿で、だけど黒髪の子供が、胸につけているのは手書きのゼッケン。
『3―B 香月朱羽』
小さなふりがなには、"こうづき しゅう"とある。
三日前の日付が入ったもう一枚の写真は、数人の男の子と女の子が一緒に映っていた。
全員、都内で有名な中高一貫のある私立校の学生服を着て、その中でやはり背が高い彼が、あどけなく笑っている。
動揺して、あたしは慌ててまだ寝ている彼を見た。
彼が頭を埋めている白い枕は月が溶けたような黄金色が染み、今の彼の髪は黒くなりかけている。
あたしは恐る恐るその耳もとで囁いてみた。
「香月くん、今何歳ですか?」
すると彼は、むにゃと言いながら答えた。
「おととい15歳になった……」
「た、体育祭は楽しかったですか?」
「うん、楽しかった」
憎らしいほどあどけない顔で。
あたしが、ひとときの相手に選んだのは。
あたしを、朝までイカせ続けたのは。
あたしより四歳年下の中学生、でした。
それは、あたしの黒歴史となる昔々のお話――。