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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
***
金の装飾が施された照明が煌びやかに照らし出す鏡のエレベーターで、互いの身体に腕を絡ませ、強く抱き合いながら性急なキスをする。
今まで何度も何度も唇を重ねて、両想いだとわかって、これからゆっくり抱き合う時間があるというのに、それでもひとときでも離れていたくなくて。
触れているのに切なくなる。もっと朱羽の香りに包まれたい。もっともっと朱羽に染まりたいと思ってしまう。
朱羽が好きで好きでたまらない激しい衝動が、あたしの中から消えない。
泣きたくなるほど、朱羽が欲しくて欲しくてたまらない。
濡れた唇を食まれ、舌をねっとりと絡ませられ、狭い空間に淫らな声と水音が鳴り響く。快感と朱羽の匂いと混ざった淫猥な空気は、あたしの情欲を煽り、身体を熱くさせる。
エレベーターが、目的階に着いた。
少しだけ唇を離したけど、寂しくて仕方がない。
朱羽も同じみたいで、別れを偲ぶような切ない目であたしを見ると、長い睫を僅かに震撼させた。
そして、眉間に皺を寄せるような苦しげな顔をして、あたしを仰け反らせるほど上から激しく唇を奪ってくると、あたしの両足を下から掬うように横抱きにして、そのまま歩き出した。
朱羽が器用にカードキーを差し込んだ部屋が開く。
宙に浮いたまま、また唇が離れた。
「お風呂入る? それともこのままベッドに行く?」
熱に掠れた声で、朱羽は潤んだ目を向けてきた。
「俺は、仕事の前に家に戻って風呂に入ってる。俺は、すぐにでもあなたを抱きたいけど、あなたが気になるのなら」
あたしを欲しくて仕方がないという切羽詰まったような目を向けて。
「我慢するけど」
そんな朱羽が愛おしい。
「さっきね、一緒に洗ったの。だから……」
あたしからキスをして笑う。
「ベッドに連れていって。あたしも朱羽に抱かれたいの」
朱羽も笑った。
「じゃあ、ベッドに行こう」