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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
 

「もっと俺に感じている顔を見せて」

 そろそろと視線を落とし、朱羽を見た。

 とろりと熱で潤んだ互いの視線が絡む。

「朱羽……手加減してるでしょ」

「ん? どうかな」

「朱羽、まだ余裕あるもの」

「必死で我慢してるよ、気を抜けばもっていかれるから」

 優しく細められたその瞳は、獰猛に情欲を滾らせている。

「せっかくあなたとひとつになったんだから、覚えておきたい。あなたの表情、あなたの身体、あなたの熱……愛おしいものすべて、記憶に刻みつけたい」

 甘い声を乗せるように、ゆっくりな速度での突き上げへと変わる。

 狭いところを押し分けて入っては出るそれは、まるで赤子をあやすかのようにゆったりと、どこまでも優しく、慈愛に満ちていて。

 ふたりで同時に、甘い声を漏らした。

「俺、本当に諦めないでよかった。あなたにこうやって優しく包まれているのが、幸せなんだ」

「あたしも、幸せだよ、朱羽」

 朱羽の頬を両手で挟んで言う。

「満月に苦しんできたけど、だけど……朱羽を連れてきてくれたんだから、少しだけ満月を好きになれそう」

 朱羽はあたしの腰のあたりに手を組んで、あたしを静かに揺らす。

「これから満月は、こうやって俺とひとつになって心も繋げようよ。俺にとって満月は、あなたの心に僅かにでも残れた記念だから」

 満たされる。

 朱羽を感じられて。

「……うん」

 朱羽の唇があたしの首にあるペンダントを含んだ。

「これに、あなたへの愛を誓うよ」

 目を伏せて口づける朱羽は神々しいほど綺麗で。

「あたし、離さないから。ずっとしてる」

 朱羽はペンダントを唇から離すと、ふっと笑った。

「いい子だ。いい子にはご褒美あげないとね」

 その嬉しそうな眼差しが、すぐに妖艶なものへと変わる。

 朱羽の髪先の汗が滴り落ちて鎖骨に溜まり、そこからまた身体に零れ落ちて、汗ばんだ彼の身体に筋を作った。

 それに男の色香を感じて、ぞくぞくが止らない。

 
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