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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
 

 押し寄せるものが大きすぎて、キスをしたままどう息をしていいのかわからず、ぷはっと唇を離したあたし達は、互いの顔を苦しげに見つめたまま、一気に弾け飛ぶ。


「朱羽っ、イク、朱羽、朱羽もっ」


 差し出した手はぎゅっと朱羽に握られて。


「陽菜、陽菜、俺も……はぁぁ、陽菜、一緒に、溶けよう。――ん、くぅぅっ」


 あたしのナカに溶けるかのように爆発した朱羽が熱くて。

 朱羽の迸りを直接受けられないのが、とても残念でたまらなかった。

 それでも念願叶って繋がったまま、あの白い果てに朱羽とイケたのは、あたしの心を激しく揺さぶるほどの感動をもたらして。

 好きだという気持ちが抑えきれない。

 このまま朱羽があたしのナカに居て貰いたかった。ひとつになっていたかった。

「朱羽、好き。好き……っ、離れないで」

 くったりとしながらも愛を伝えたい衝動に駆られながら朱羽を見つめると、朱羽の目尻から涙がつぅーっと零れ落ちた。

「朱羽?」

「……ごめん。感動して」

 朱羽が手を伸ばして、あたしをぎゅっと抱きしめ肩に顔を埋める。

「セックスが愛の行為だと言われるのがわかった。ありがとう……俺を好きになってくれて。あなたの身体も心も俺を愛してくれていたのがわかったよ」

 涙声の朱羽の声が、あたしの首元に響く。

「ありがとう……陽菜。俺、こんなに愛しいあなたを絶対離さないから」

「うん、離さないでね」

 あたしまで涙声になりながら、愛を語りあえるこの至福の瞬間を共に喜ぶ。

 あたしは今まで愛を拒否していた。

 恋人なんて作らなくても生きていけると思った。


 だけどそうじゃない。

 失った半身を取り戻したようなこの悦びを、あたしは絶対に忘れない。

 満月がとりもった、あたしが初めて好きになった恋人は、長い時間をかけてあたしを見つめ続けてきてくれた。追いかけてきてくれた。

 こんなに贅沢で幸せなことってあるだろうか。


 泣きたくなるほど、朱羽が好き。

 願わくば、朱羽もそうであったら嬉しいな。


 どちらからともなく、重なる唇。

 角度を変えながら、キスで抱えている想いを告げる。

 互いの身体に両手を巻きつけ、上に下にと転びながらすべてを繋げて。

 キスがどこまでも涙の味がするから、ふたり、泣きながら笑った。

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