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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
 

 ***

 12個入れの避妊具があと四個でなくなるらしい。

 下のコンビニは深夜零時から朝六時までは閉店しているらしく、朱羽は箱をもって項垂れた。

「ちょっと休戦だ。このペースだと、すぐ使い切るから」

 朱羽が八回あたしのナカで果て、その上であと四回使い切る気なんだと思えば、なんだか無性に体中がこそばゆい。

 求められるってこんなに嬉しいものなんだね。

 ああ、だけどこの25歳、休憩を挟みながらでも八度もして芯を衰えさせずにいられるって、どれほどの精力の持ち主なんだろう。

 色事など興味がありませんというような涼しげな外貌とは裏腹に、色事によって艶めいたフェロモンを壮絶に放ちながら、あたしをすぐに果てさせるほど巧いし、何回もあたしを求めてくれるって、どれほどこのひと、性的にも魅惑的な男なんだろう。

「最初からこんなにしてたら、あたし飽きられちゃうな」

「は?」

「賞味期限、そんなに長くないだろうから」

 28歳はお年頃。

 すると朱羽がむくれた顔をして、指であたしの鼻を摘まんでから離した。

「俺、あなたがおばあさんになっても抱くから」

「え~」

「えーじゃないだろう。俺にここまで求めさせるのは、誰の魅力だと思ってるんだよ? 俺、あなたの身体目当てじゃないし、期限があるなんてばかげたことを言うあなたを、元より永遠、味合わせて貰うつもりだから」

「ぷはっ」

「笑うなよ」

「だって真面目な顔して……嬉しいことを言うから」

 あたしは拗ねた朱羽に抱きついた。

「朱羽があたしの最後の男になればいいなって思う」

「なるよ。俺だって、陽菜が最初で最後の女だから」

「はは。断定していいの? 知らないよ?」

「九年の片想いをなめるな。この先もあなただけしか愛さないし」

 朱羽の気持ちが嬉しくてたまらない。

「じゃああたしもそうする。朱羽だけしか愛さない」

 きっとあたしは一生分の恋をしている。

 この先、朱羽以上に好きになれる男は現われないだろう。

「……っ、……やば」

 朱羽が苦しそうに目を細めた。

「え?」

「今の陽菜の言葉で、身体に来た。あと四つ……、ちょっと前にイッたばかりなんだから、我慢我慢……」

 お経のように唱えている。
 
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