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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
「十一回も使ったんだ?」
するとあたしを見ていた朱羽は、ぽっと顔を赤らめた。
「待ち遠しかった夜にあなたと両想いになれて、あなたが可愛すぎて、好きすぎてたまらないから、止らなかった」
朝から朱羽のこのはにかんだような微笑みでの告白は、心臓に悪い。
「俺の身体なのに、俺のものじゃないくらい、あなたを渇望して……九年前以上にあなたとひとつになりたくてたまらなかったんだ。どうしても、あなたと繋がりたくて」
もう本当に、どうしてくれようか。
「ここから帰りたくないね。これが幸せな夢だったら嫌だ。死んでもこの夢に浸っていたい」
朱羽の手があたしの頬を撫で、斜め上からあたしの唇を押し開くようにして、ぬるりとした舌を入れてくる。
舌を絡めさせている間、朱羽の指があたしの耳を愛撫する。
ああ、幸せ。
朱羽とくっつきあって、こうして愛して貰えて幸せ。
離れた唇は、淫らな銀の糸が繋いでいる。
「夢じゃないよ。愛し合った夜を夢にしないで」
「陽菜……」
「いろんなところにデートしよう? いろんなところで愛し合おう? あたし、デートとかしたことがなかったから、凄く楽しみなんだ。朱羽とならどこでも嬉しい。ピクニックする?」
喜ぶあたしに相反して、朱羽は切なそうな顔をして、あたしの頬に口づけた。
「おうちデートでもいいよ。あたし手料理、下手だけど頑張る。だけど、うちはいやだなあ……」
「なんで? あなたが住んでいる場所を見たい」
朱羽が拗ねる。
「見るだけならいいけど」
あたしは困ったように言った。
「壁が薄いから」
意図するものを察して、朱羽が吹き出す。
「だったら俺の家においで」
「うん」
「防音設備もあるから。啼き声を殺さなくていいよ」
「……アリガトウゴザイマス」
朱羽はあたしをぎゅっと抱きしめ、ややしばらくして言った。
「あなたは今の家、気に入ってるの?」
「そういうわけじゃ……。値段が安いから」
「ふうん……。俺の家、広すぎなんだよね」
「うん。あれはファミリーでもいいよね。凄いところに住んでいるよ」
「俺の家、好き?」
「うん」
「俺はあの家、嫌いなんだ。だけど……」
腕に力が入る。
「……一緒に暮らさない?」
「え?」