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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
***
日曜日――。
木島くんが全社員に病室へ集合をかけた。
そこであたし達は、今度は言葉で問う。
結城に、社命をかけていいかと。結城に月代社長と同等の、いやそれ以上の忠誠と愛情を注げるかと。
答えは……。
「勿論!!」
皆はそう口々に叫んで、結城に拍手をした。
結城が培ってきたものが認められた瞬間だった。
その午後、ひとまず社員達と一致団結の気合いをかけた後、彼らは本屋で買った本を結城にプレゼントした。
『社長の心得』
『ビジネスリーダーになるために』
『ライバルに勝つために』
などなど。
結城は笑い転げながら、感謝の言葉を述べていた。
そして杏奈と共に、盗聴器を外しに会社に寄るとのことで、病室には専務と沙紀さん、あたし、朱羽、結城、衣里、木島くんだけが残り、作戦会議となった。
社長は眠っているようだから、起こさないようにしながら、沙紀さんが社長の傍に付き添ってくれたため、皆でリビングの部屋で大きなテーブルを会議室に見立てながら、これからのことを話し合った。
結城が社長になるためには、宮坂専務が議案を上げて、母体である忍月コーポレーションの重役会議で過半数の支持を得ないといけない。
専務曰く、向島の息がかかっている副社長一派は、社長の交代を予想していないにしても、結城が社長になることでの、うちにとってはデメリットであり向こうにとってはメリットとなることを考えるはず。
つまり、シークレットムーンを潰そうというのなら、結城が月代社長ほどの能力がないと思っているだろう重役達は案外すんなりと結城を認め、そしてその責任を押しつけて最悪な形で潰そうとするかもしれない、と。
結城に、すべての責任を追及するために――。
だがやはり、月代社長にすべての責任をなすりつける気があるのなら、重役会議で却下され、社長不在のシークレットムーンとして向島に売られる。
結城が承認されるか否かの可能性は五分五分に思えた。