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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
皆でタブレットで表示された会社の定款を見る。
こんな時ぐらいではないと、じっくり見ない堅苦しい文字ばかりの羅列。
その中で見つける。
『株主総会の招集通知は、当該株主総会で議決権を行使することができる株主に対し、会日の1週間前までに発する。』との文字を。
一週間後の議決。
恐らくそれは、忍月の決定を待つより早い。
それからあたし達は、社員の住所録から役員の住所を割り出し、同席してくれた専務のひと声で、あたかも忍月の命令かのようにびくついた役員達は、言われるがままに書面を作った。
そして月曜――。
結城の意志は、専務から忍月の重役に伝えられた。
そして同じ日、朱羽と杏奈が共同開発したプログラムソフトが正式にリリースされ、WEBに大々的に広告を出した。
WEBページは、細工なしにそのままネットに公開しただけでは、検索で上位にひっかかったりと露出することはまずありえない。
検索エンジンのページで、作られたページを判断して露出順位を決める、クローラーと呼ばれるものが巡回してくるまでは、検索結果には変化がないのだ。
そのクローラーにひっかかって、検索順位を上げるためには、ある程度そのページが公開されてからの時間と、クローラーが好む表にはでないところの記述なり細工なりが必要で、それ専門に「Search Engine Optimization」略してSEOと呼ばれるもの専門の会社も出ているくらいだ。検索こそ命という顧客には、WEBを作ってからもひと苦労ある。
だがさすがは朱羽と杏奈で、クローラーが巡回するまでは、検索に頼らずとも上位のところとリンクして貰えるように手配していたらしく、広告ページが大手の有名な検索エンジンのトップページにも出てくる。
だとすれば、向島もすぐにわかっただろう。
自分たちは踊らされて、うちとは違うプログラムを開発していたことに。