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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon

エレベーターが来て、扉が開いた。
中に居るのはあたし達だけしかいない。
「結城さんもあなたを心配しているから、すぐに戻るけど」
朱羽が顔だけあたしに向け、そして腰を屈めてあたしの唇を奪う。
「俺はあなたが好きなんだ」
切なげな顔が離れる。
「シークレットムーンのあなたを追って、ここまで来たんだよ」
チンと音がして、目的階で扉が開く。
「明日、夜7時……夜景を見にドライブデートしよう」
「朱羽……っ」
朱羽が必死にあたしを引き留めようとしているのがわかった。
エレベーターから出ないため、また扉がしまる。
視線が絡み合う。
「………」
「………」
朱羽はやるせなさそうに目を細めると、レビ袋をその場に落とした。
そしてあたしの後頭部に手を添えると、堰を切ったように荒く口づけてきて、舌を激しく絡め取った。
エレベーターで、キスの音と声が重なる。
朱羽の匂いが、あたしを包んでいく。
「……俺を頼って」
掠れた声がエレベーターに響いた。
しっとりと濡れた朱羽の目があたしを魅縛する。
「俺は、あなたの恋人であり、……上司なんだよ。あなたを犠牲にすることなく、ちゃんと切り抜けるから」
「……っ」
「俺を信じて。……信じろ、どこまでも俺のことを」
「朱羽……っ」
感極まったあたしは朱羽の胸に頭を寄せた。
朱羽の手があたしの背中に回る。
「あなたの明日の夜は俺のものだからね。ブルームーンの時みたいに、愛し合おう? 朝、あなたの手料理食べさせて?」
耳元に、甘く熱く……囁かれる声は、この上なく魅惑的で。
「あんな男に、あなたを抱かせない。俺の……、俺だけのものだ」
ああ……、彼の独占欲があたしの胸を突いてくる。
「好きだよ、陽菜」
「……っ」
胸がぎゅっと苦しくなって、心臓が早鐘を打った。

